実生は誰にでも手軽にできて、 欲しいだけの数の苗を、一度に得られます。 また、花粉を交配して新しい品種を 作るという醍醐味もあります。
ただし、成木になるまでは年月がかかり、 また親木と同質のものはできにくい方法です。
<たねとり> 種を取る時期はほとんどが秋の結実期ですが、 樹種によっては、取る時期や方法を工夫します。
@樹上でとるもの 翼がついていて、完熟すると 飛び散るもの(カエデやマツ類)、 果皮が裂開するもの(モッコク、トベラ、 シャクナゲ、ツツジなど)などは樹上で種を取り、 陰干しにしておいてからはじかせます。
A早めにとるもの 小鳥が好んで食べる実物(モチノキ、花水木、 ナンテン、ニシキギなど)は、 果実の色がよく出たころに、 早めに種を取るようにします。
<種の保存> とった種のうち、乾燥に強い針葉樹類などは、 陰干しして紙袋に入れ、室内に保存します。
果肉のついているたね(モッコク、ナンテン、 ムラサキシキブなど)は、果肉を取り除いて、 水洗いをしてから土中に埋めて保存します。
虫のつきやすい種(トチノキ、シイ、カシ、 ツバキ、モチノキなど)は、2〜3日水に浸して、 虫を殺してから土中に埋めて保存します。
乾燥させると発芽しないたね(サクラ、 ハナミズキ、カエデ、モクレンなど)は、 砂や赤玉土などと混ぜて、 植木鉢や箱に入れ、土中に埋め込みます。
<種をまく時期とまき方> 3月にまきます。
<水やり> 種をまき終わったら水やりします。 大粒の種は、表面に水コケや藁を かぶせた上から、じょうろで水をかけます。
細かい種は、スプレーで表面だけを 湿らせるか、鉢ならば下に水を張った 受け皿を置いて、腰水させます。
<移植> 本葉が2〜3枚になったら、別の鉢や箱、 または露地に十分間隔を取って移植します。
<肥料> 移植後2〜3週間したら、100倍くらいに 薄めた液肥を水やりのときに混ぜて与えます。 (8月までに数回与えます。)
<冬越し> 鉢や箱植えは北風を避けて、 日の当る場所に置き、寒さに弱い 常緑広葉樹はハウスに入れます。
路地植えはビニールシートなどをかけますが、 暖地ならば片屋根か風よけで十分です。
<病害虫> 小苗のうちは特に病害虫に弱く、 うどんこ病や立ち枯れ病などが出やすいので、 ジュネブ剤などをまいて防除します。
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