カンキツ類 柑橘類
ミカン科ミカン属 常緑広葉樹 低木〜小高木
【別名】 ミカン類
【購入時の目安サイズ】 1.0m
【購入時の目安価格】 苗木@1,000円、成木@4,000円
【将来的なサイズ】 幅:4〜5m、 高さ:3〜4m
【花期】 5月
【開花日数】 10日
【果実期】 9〜3月(樹種により異なる)
【原産地】 日本、中国、東南アジア、インド北東部
【適地】 沖縄〜東北
【土壌条件】 特に選ばない
日本の果実店の店先には、
年間を通して様々なフルーツが並びますが、
中でもミカンをはじめとするカンキツ類の仲間は、
海外からの輸入品を含めて実に多彩です。
カンキツ類とは生物学上ミカン科に属する
カンキツ属、キンカン属、カラタチ属に
分類されるもののすべてをいいます。
カンキツ類はインドから中国南部にいたる地域で、
数千万年目から既にあったといわれ、
そこからヨーロッパ地中海沿岸地域へ渡り、
さらに南北アメリカの各地へも伝わったといわれています。
そして、長い年月の間にそれぞれの土地に、
特有のカンキツ類の品種ができていったようです。
日本が原産地のカンキツ類は、
「左近の桜、右近の橘」として有名なタチバナだけで、
今日の温州ミカンなどの他の品種は、
すべて海外からの輸入品種です。
キシュウミカン(紀州ミカン):日本にミカンの栽培品種としてまず土着したのは、
約700年前の鎌倉時代に移入されたもので、
最初は熊本県の八代付近で、
その栽培が始まったようです。
そして、天正2年(1574年)に、
和歌山県有田の伊藤孫右衛門が
熊本からこのナ役を持ち帰って、
苦労の末、キシュウミカンを育て上げました。
やがて、この品種が同地方を中心に
広く栽培されるようになり、
一般の人々の口にも入るようになります。
特に、江戸時代から明治時代前半は、
このみかんが紀州の特産品として名を上げ、
紀伊国屋文左衛門のように、キシュウミカンを
江戸に船で運んで財をなす商人も出てきます。
キシュウミカンは「小ミカン」とも呼ばれ、
やあ酸味があるのと種の多いことが特徴です。
ウンシュウミカン(温州ミカン):このみかんは「温州」という名前を持つため、
中国浙江省の温州が原産地と考えられがちですが、
田中長三郎博士の調査から、
鹿児島県東長島村周辺が原産地だと報告されています。
しかし、原種となったミカンは、
やはり中国浙江省付近のもので、
室町時代から江戸時代初期にかけて、
温州近くの天台山に修行に行った留学僧が
ミカンを持ち帰り、その種から偶然実生したもの
であるだろうと考えられています。
その種が鹿児島付近で育って、
今日の温州ミカンの元となっています。
現在、国内のカンキツ類生産の
約80%を占めるほどになっていますが、
このみかんが愛用され始めたのは、
明治後半から大正初期以降のことです。
温州ミカンは紀州ミカンに比べて甘味もあり、
種がなくて食べやすい品種であるのに、
国内で早くから普及しなかったのは、
強力な家族制度のあった江戸時代に、
このミカンが「種なし」であったことから、
家族が絶えることにつながるとして嫌われ、
種のある紀州ミカンの方が愛用されたため、
と考えられています。
ナツミカン(夏ミカン):安永元年(1772年)、山口県の青海島の海岸で、
島の女性が珍しい果実が漂着しているのを発見、
その種をまいて育てた木が、
日本の夏ミカンの原木とされています。
夏ミカンは酸っぱいので、最初は食べる人も
あまりいませんでしたが、萩の武士が
長州藩の藩主に献上して好評を得たことから、
山口県内を中心に栽培が盛んになり、
明治以降、脚気に効く果実として、
西日本一帯に栽培が広がりました。
夏ミカンの仲間としては、
日向夏ミカン、伊予柑、鳴門ミカン、
ハッサク、サンポウカンなどがあり、
これらは家庭菜園もできます。
オレンジ類:オレンジ類はヨーロッパ系カンキツ類の代表というべきもので、
特にバレンシアオレンジ(原産地ポルトガル)や、
ワシントンネーブル(原産地ブラジル)などが有名です。
国産品種としてはフクハラオレンジがありますが、
家庭での栽培は難しい品種です。
ブンタン:ザボン、ボンタン、ウチムラサキなどの別名もあり、
日本では江戸時代初期から九州を中心に栽培されています。
実も花もカンキツ類の中では最大ですが、
風当たりに弱い性質です。
そこで、栽培には風の強くない場所で、
年平均気温が16℃以上という条件が必要です。
ユズ:ユズは中国が原産地で、大和時代のころには、
早くも日本には伝えられていました。
ユズは寒さや病害虫にも強いので、
東北地方でも家庭栽培ができます。
しかし、結実するのに5〜6年はかかります。
ダイダイ、カボス、スダチなどもこの仲間です。
キンカン:キンカンの原産地は中国です。
キンカンの皮は甘みがあって、
ビタミンも豊富なので食べられますが、
実は酸っぱすぎて食べられませんので、
鑑賞用の盆栽に仕立てて楽しみます。